『桐島、部活やめるってよ』@渋谷東急

桐島、部活やめるってよ(公式サイト)
桐島、部活やめるってよ』を観た。
今回鑑賞に出かけたシアターは、渋谷クロスタワーの2階にある「渋谷東急」。
300席の座席を持ちながらも狭小な劇場ではあるが、今回の映画の舞台挨拶も行われた。もともとは、東急文化会館(現在は解体され、跡地に渋谷ヒカリエが建てられている)内に存在した劇場であり、文化会館の解体を機に渋谷クロスタワー内に移設された、という経緯がある。
 
劇場の紹介はさておき、今回の映画。
 
「部活」というキーワードについて頭の中に思い浮かぶのは、高校時代に入部していた吹奏楽部、物理研究部、軟式テニス部など。
どれも「やめる」ことについて、一切先輩や顧問の教師に相談せず、いつの間にか「やめた」体になっていた。それでも、どの部活にもたまに顔を出して部内の友達と話したりして、いま振り返ると随分と図々しい振る舞いをしていたと思う。
 
そんな感じだったから、この作品の起点である「部活をやめる」行為が、非常に衝撃的、かつ周囲の人間に影響を及ぼすものとして描かれていることが新鮮だった。

「桐島」というひとりの生徒が部活動をやめる。それだけが物語の最初から最後まで延々と引っ張られる。
いったいどんなヤツなんだ…いくら待てども一向に現れない「桐島」を待ちわびる間に描かれる、登場人物の学校内での生活。
これが、一度高校生を通過した世代には本当に淡く映ると思う。ひとりひとりの感情の浮き沈みの描かれ方が実にリアルで、いまでは「そんな小せえことかよ」って思えるようなものにすら苛立ちやよろこびを感じていた、高校生の日々の重箱のスミのような部分を、実に的確につついてくるのである。
 
この作品、大半の劇場で上映が終了しつつあるので、まだ観ていない方はぜひお早めに。

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