自然につつまれて

一時的に岡山県の奥地で過ごすようになってから、間もなく一ヶ月が過ぎようとしています。
社会人になってからと言うもの、色々な地方を旅行で訪れるようになりましたが、そのたびに、地方が有している自然の素晴らしさや雄大さに心惹かれます。

子供の頃は、地方に出かけるだけで退屈をおぼえたり、それをしのぐためにショッピングモールに連れられたりしたものです。即物的で、自然がそばにあることのありがたみを十分に感じられなかったのですね。

ですが、今回こうして自然の中で一時的に暮らすようになって、改めて自然が存在する事のありがたみを感じるようになりました。

ふらりと外に出て周りを見渡せば、そこには大きな山々が連なっていて、遠くの方はかすんで見えないけれど、大きな存在感を感じられます。

東京のように生ぬるいものではなく、熱を帯びているものの柔らかい風が頬をなでてくれて、安らかな気持ちになります。

そういうものがもたらしてくれる『癒しの力』に、今回、本当に救われました。

東京でも自然を感じられないわけではありません。でもその多くは人工的に用意されたもので、ビルにぐるりと囲まれて、ざわざわしていて、地方のそれとは全く異なるような気がします。

そして、地方で暮らす人々の生活には『ゆとり』があります。
電車もバスも、分刻みで訪れない。1日5本。それで十分にまかなえてしまう地方の交通事情。
スケジュールがゆったりとしている、という事は、それだけ、そこに住む人々の生活が時間に追われていないことを意味しています。ある程度、自分のペースで暮らしていける。

ついつい考えすぎてしまう自分には、そうしたペースで過ごせることにも魅力を感じました。
自分のペースと、東京での生活のペースがマッチしていないように思えたのです。

東京にも良いところは沢山あるけれど、なんだか、お腹いっぱいなのかなぁという気がしています。
削ぎ落した先にあるものが、自然との暮らしなのであれば、それを選択することも良いのかもしれません。