『藁の楯』@新宿ピカデリー


4月26日公開開始の映画「藁の楯」を観てきた。

今回、はじめに訪れた映画館は立川のシネマシティ。14時に到着したが、15時の回は最前列以外は満席、という予想外の混雑具合。
その次の回が18時前とやや遅い時間帯であったため、中央線に乗って新宿まで移動し新宿東口のピカデリーで16時の回を観賞してきた。それでも大半の席はすでに埋まってしまっていて、この作品への期待度を窺い知ることができた。

以下、簡単なレビュー。

・狂気を分かりやすく演じることができる藤原竜也
藤原竜也はいつの頃からか、全うな役柄よりも、少し偏っていて、それでいて尖っている役柄を演じるようになってきているように思える。

自分が記憶している中では「デスノート」「古畑任三郎」「パレード」「インシテミル」「カイジ」など。
役柄とキャストの選出は、えてして相関性が高いことが前提ではあるものの、藤原竜也が演じる役柄はその後の作品に対する評価を見ても「彼にぴったりだ」という評価が多いように感じられる。端正な表情の奥に潜んでいる「いつ壊れてもおかしくない」と感じさせる彼の独特のオーラは、生まれつき纏っている魅力に思える。

今回の作品においても藤原竜也は”変態殺人犯”という役柄を演じているけれど、そのオーラは健在で「何を考えているか分からない」その表情が物語全体を引き立てているように思える。

・「死」によってしかアピールできない命の尊さ。
5人組のパーティーが次々にストーリー外に消え、最後は一人になってしまう、ある意味単調とも、わかりやすいとも言える展開。

登場人物の死に方も微妙なもので、警察や個々の登場人物が貫き通そうとした「犠牲を持ってしての正義」が描かれきれていないように思えた。命の潰え方次第で、死の持つ意味は大きく変わる。清丸を守ることはルールを守ることであり、命を守ること。死の正当性は問われていない。

命が尊いかどうかは、各々の登場人物の中で考えられているはずなのに、それらが全部「死」によってひとくくりにされてしまっているところは、ちょっともったいないように感じられた。

娯楽映画として見てもいいけれど、随所にエグさがあるので爽快感は得難いと言える。

藁の楯 (講談社文庫)
藁の楯 (講談社文庫)
posted with amazlet at 13.07.09
木内 一裕
講談社
売り上げランキング: 23,322