よく、「自分の時間や気持ちを犠牲にする」と言われることについて、どう考えているのか。

――他人が喜んでくれるのが嬉しい、というのが真っ先に生まれる感情ですね。これはもっぱらプラスのことが後に待っている場合。少し遠出して相手の欲しいものを買ってきたり、翌日も仕事があるのに深夜遅くまで電話やメールをしたりすることも、結果、相手の心が落ち着いたりしてくれたら、それで自分としてはすごく救われるんです。

逆に、自分と、相手の間で悪いことがあったときに、背負いすぎることもあります。極端な例で言えば、恋人と別れた時に、明らかに相手の方が悪い(と一般には言われるような)シチュエーションでも「あぁ、でも俺がもっと良い人間だったら別れたりはしなかったんだろうな」って思い込んで、結果、全部自分のせいだと思っちゃってるんです。今のいままで。

相手が悪いと思い切れない理由はなぜだろう、って考えたんですけど、かつて自分と相手の間で生まれた幸せな時間をすごく大切にしているからなんです。「昔はあんなに良いことあったじゃん!」って思うと、もうそこから悪くは思えなくなる。相手が自分に与えてくれた時間を肌身離さず抱えてるんです。気持ち悪いくらいに。未練ではないんです。よく間違われるんですけど。

好きになる人って、適当に選んだわけではなくて、たとえば服で言えば、沢山のお店を探しまわってやっと気に入った一点モノと同じだと思うんです。
女性はこの世に沢山いるけれど「付き合ってみようかな」って思える人ってそんなには出会えない。性欲とか抜きにして。性欲だけで突き進めるものって、そんなに長続きしない気がします。