みじめなエゴイズム

言っても伝わらない人、と言うのは存在する。
かつて僕が昔の恋人に哀しまれたことでもある。

 多くは伏せるが、いつものように仕事先の友人の恋愛相談に乗っていた。だが、彼女はあまりにも自分のことばかりを優先していた。相手にも愛想を尽かされかかって、どうすればいいかを僕に教えて欲しいと言う。

 僕は、どうしようもない。と言った。相手に踊らされるのではなく、自ら考えて、どうすればいいのかを判断しない限り前進はない、と話した。

 それは、僕自身そうしていることでもあるから。どんなに相手が真実を語っているように見えても、それは相手しか分からない。相手を信じていれば、その言葉は真実だと信じられるだろうし、もし相手の事を信じていないのならば、いくら相手の言葉を聞いたところで安心することはないだろうから。

 相手を変えることはできない。でも、相手の気持ちが変わるように、自分を変えて、魅力ある人間になる事はできる。

 ありのままを受け入れ続けることはできない。それは、誰でもいい、と言っているのと同じことだ。常に変わっていける人間と共にいたい。

 SNSを見ているとこんな人が多い。

「ありのままを受け入れてください」
「こんなダメな自分を受け入れてください」
「ワガママを受け入れてください」

 これでは恋愛はできない。
 要するに「私は変わるつもりはありません」ってことでしょ?
 エゴ同士の擦りあわせが恋愛だとしても、こんな惨めなエゴを押し付けられるのはまっぴらだ。